今日は話題を少し変えて、各候補の「マリファナの合法化」に関する意見をまとめてみます。なんで急にマリファナ? と思われるかもしれません。が、これ、現在アメリカで、同性愛に次ぐ市民権的課題になっているんです。また、長年危険物として忌避されてきたマリファナに、実は医療的価値があるのではないかという研究が盛んに勧められています(念のために記すと、私自身はマリファナを体験したことがありません)。実際、23州とワシントンDCが、マリファナの医療目的の使用を合法化しています。さらに、この秋にはカリフォルニア州他数州で、嗜好目的のマリファナの是非を問う住民投票が行われます(コロラド州他4州では、嗜好マリファナも合法)。マリファナは、大統領選がここまでの接戦にならなければ、もっと議論されていたテーマだったのです。
ここで少し背景を記すと、現在マリファナは、国(司法省麻薬取締局)の法で、「医療価値がなく乱用の危険性」がある「スケジュールⅠ」に分類されています。したがって、マリファナの所持、服用は犯罪として処罰されますし、医師は処方箋を書くことが出来ません。国がダメと言っているのに23もの州がOKしているとは不思議ですが、これは州の力が強い連邦制ならではの現象。ただし、国の決まりは州のそれより上位にあるので、合法化されている州でマリファナを使用しても、国から逮捕される事態が起こったりします。変ですね。なお、世論調査では、58%の米国成人が合法化に賛成しています。
こういった背景があり、最近では、「米議会が、麻薬取締局に調査の予算削減を要求」したり、「司法省が、マリファナの『スケジュールⅠ』から『スケジュールⅡ』(医療的価値はあるが、依存性が非常に強い)への移行」を検討し始めたりしています。 なおざくっと言えば、伝統的に、民主党はマリファナ容認、共和党は撲滅の気風です。では、各候補の見解をどうぞ。
ヒラリー・クリントン(民主党)
医療的効果検証のために、マリファナを『スケジュールⅠ』から『スケジュールⅡ』に移行することに賛成。嗜好マリファナについては各州の判断に委ねる。しかし、マリファナには未知の部分が多いので各州の経過を慎重に観察したいし、マリファナ関連の組織や企業からの献金は受け取らない。
ドナルド・トランプ(共和党)
医療マリファナは全面的に支持。嗜好マリファナについては疑問だが、各州の意思を尊重する。
バーニー・サンダース(民主党)
国の縛りはただちに廃止すべき。マリファナは、アルコールやタバコ同様、州がルールを決める権利を圧倒的に有する。現在のように、国と州の法律が違うために逮捕者が出るという事態はまったくおかしい。また、アメリカではヘロインなど麻薬中毒が大問題になっている。医者が治療薬として与えることが、中毒のキッケケになっているケースも多い。中毒性のないマリファナをもっと活用すべきだ。(サンダースは、ヒッピー文化を内包しているためマリファナには寛容です。)
テッド・クルーズ(共和党)
個人的にはマリファナの合法化に反対。ただし、国ではなく州が決定すべき事項であるとは思う。なお、コロラド州やワシントン州で嗜好マリファナが合法化された際には、無干渉の姿勢を貫くオバマ政権を批判。
ジョン・ケーシック(共和党)
過去には、嗜好マリファナはもとより医療マリファナにも反対。最近は州の判断を尊重しているが、大統領になったら、「アメリカからマリファナを含むドラッグを一掃する」とも発言。
ところで、 久しぶりに「ワシントン・ポスト」の大統領レース・サイトを見たのですが、1)ヒラリーがトランプにほぼ追いつきました。2)あんなにたくさんいた(主に共和党)候補者が、すっきり5人に落ち着きました(↓)。
https://www.washingtonpost.com/graphics/politics/2016-election/presidential-candidates/
(↓) 「ナショナル・ジオグラフィック日本版」。評判が良かったようで、紙の方は売り切れで電子版のみ販売中。医療マリファナについて極めて真面目にリポート。
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(↓)『マリファナ合衆国』(自主出版かな)。コロラド州在住の著者が、同州のマリファナ最前線を豊富な体験をもとにわかりやすい文章で伝える。コロラド州では医療のみならず、嗜好マリファナも合法。
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