このところ、ドナルド・トランプ共和党大統領候補の言動がいよいよ変、と思うのは私だけでしょうか？ まあ、今までも変な発言をし、であるが故に耳目を集め、支持率を上げてきた人なので、今回も、と考えることはできます。しかし、私はちょっと違うように思うのです。トランプは焦っている。それで変になっている、というのが私の見立てです。
焦っている理由は、もちろん支持率。共和党大会後の先月末には、ヒラリー・クリントン民主党大統領候補より支持率が上だったトランプ。しかしその後は逆転され、たとえば今日のEconomist/ YouGovの調査では、ヒラリー＝41％、トランプ＝35％と、大きく離されています（他の％は第３極の候補者）。
変だから支持率が落ちたのか？ 支持率が落ちたから変なのか？ この判断はかなり難しいです。とにかく、最近のトランプの「変」を列記してみましょう。
＊トランプの変な言動
- 自分を批判したポール・ライアン下院議長を、次回選挙で「支持しない」と公言（後に撤回）。→この場に及んで、共和党最高権力者に対しこれはないと思います。
- 「多くの労働者の税率をゼロにする」と宣言。→アメリカって共産圏？
極め付けは、
- 銃規制強化を主張するヒラリーに対し、「憲法修正第２条（銃保持を認めています）の支持者には、何か手段があるかも知れない」と演説。→「暗殺を示唆」ともとられかねない発言で、あまりにも危険です。
これ（↑）には、さすがにトランプ陣営も大慌てで、「手段」＝「政治的力」の意味であると、火消しに走りました。だいぶん無理がありますね。トランプには、支持者が反トランプの活動家に対し暴力を振るった際、賛辞を送った過去もありますし。元々トランプと不仲なライアン下院議長は、「冗談で言ったのかもしれないが、冗談にできるテーマではない」と、呆れ返っている様子。
写真は、民主党からのEメールより。トランプの発言を引用しています（以下同）。「妻を働かせるのは危険」。
「私は気まぐれでいたい。」
こうした中、共和党内部からも、自党の候補者であるトランプを捨てて、民主党のヒラリー支持に回る人々が続出しています（↓）。
- リチャード・アルミテージ元国務副長官
- ヘンリー・ポールソン元財務長官（「ワシントン・ポスト」紙に、「親愛なる共和党員たちへ。みんな同じ考えだろう？」と寄稿。）
- カール・ヒルズ元アメリカ通商代表
- ウィリアム・ミリケン元ミシガン州知事
他に、歴代政権を支えた元高官50名が連名で、「トランプに投票しない」なる共同声明を発表したり、上院下院の共和党議員が何十人も不支持を匂わせています。また以下は、いまだ不支持表明をしていないものの、それを噂されている人々（みんな共和党）です。
- コンドリーザ・ライス元国務長官
- ジャームズ・ベーカー元大統領補佐官、財務長官、国務長官
- ジョージ・シュルツ元国務長官
- ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、大統領補佐官
加えて、共和党寄りといわれる「ウォールストリート・ジャーナル」紙さえも、もう耐えられなくなったのか、「（言動を）軌道修正するか、撤退すべき」と書いちゃいました（8/15）。
「私は‥‥人を撃つことができるし、それによって投票者を減らすこともない。」
というわけで、優勢が伝えられるヒラリーですが、彼女は彼女で「Eメール問題」という爆弾を抱えています。一時はFBIから無罪放免されてしゃんしゃんしゃんだったものの、先月、民主党全国大会委員長らのメールがハックされていたことが判明。おそらくハックしたのがロシアであることから、ヒラリーの Eメールもロシアに筒抜けだったのでは？という疑問が持ち上がっています。
ところでーー、（↓）は、トランプの集会にしばしば登場する少女グループ、「USAフリーダム・キッズ」。ナショナリズムとトランプ礼賛でいっぱいの歌詞が、不気味。
🎵トランプ大統領は知ってるの〜
アメリカを偉大にする方法を〜
そういえば、トランプは以前、このグループのマネージャーともひと悶着あったっけ。内容は忘れた。トランプさん、トラブルが多すぎちゃって。
