ニュート・ギングリッチ元下院議長やクリス・クリスティ・ニュージャージー州知事の指名が取り沙汰される中、ドナルド・トランプが、最終的に副大統領に選んだのはマイク・ペンス・インディアナ州知事(57歳)でした。ですが、この人、とても知名度が低いです。アメリカ人でも知らない人がいっぱい。
photo from Governor Pence: About the Governor
【経歴】
- 1959年 インディアナ州生まれ。アイルランド系移民の3代目。
- 1977年 ハノーバー大学(インディアナ州)入学。卒業後、インディアナ州立大学で法学の博士号取得。
- 1985年 結婚。後に3人の子をもうける。
- 2001年 弁護士、ラジオ・パーソナリティー、幾度かのインディアナ州議会議員落選を経て、同州選出の下院議員に。
- 2013年〜現在 下院議員6期(その間に下院予算委員長)を務めた後、インディアナ州知事。現職。
ペンスはこのような経歴の持ち主ですが、政治的には「極右」の「保守」です。たとえば、厳しい移民政策、国境警備の強化、中絶反対、同性愛反対などなど。宗教はキリスト教福音派(プロテスタント)で、右派の草の根運動組織、ティーパーティからの支持あつし。
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ところでペンスは、これまでにトランプに反対する言動をしています。
- トランプが、イスラム教徒の入国禁止を主張した際に、「敵対的で憲法違反」と、反対意見を述べた。
- トランプはTPPに反対だが、ペンスは自由貿易の人。
- 5月、インディアナ州予備選の際にトランプの対抗馬、テッド・クルーズ上院議員を支持。
- ネガティブ・キャンペーンは嫌い。
それなのに2人が握手した背景には、こんな事情があります。
- ペンス/いずれ大統領になりたいので、ここで顔を売っておく。
- トランプ/自分は党主流派の覚えがめでたくないので、 主流派好み(特にペンスとポール・ライアン下院議長は仲良し)のペンスをサブにつけて支持を得やすくする。
- トランプ/自分が弱い中西部工業地帯の知事をペンスがつとめているので、同地域にアピールできる。
- トランプ/ペンスは、共和党支持の大金持ち、コック兄弟と親しいので選挙資金用の献金が期待できる。
- トランプ/ペンスは、長く下院議員を務めていたし交渉上手の評判も高いので、〈ワシントンDCの歩き方〉を学べる。
- トランプ/ペンスのウリは〈家庭の人〉なので、3度結婚した自分のスキャンダラスなイメージを中和できる。
こう見ると、トランプの方が得をしている? 一方、ペンスの欠点は以下。
- 極右なので、女性やマイノリティーからの支持が薄い(トランプも同様のため、この層にアピールできない)。
- 全米的に知名度がとて〜も低い。
相対的に見て〈安全パイ〉、どうやらこれがペンス起用最大の理由のようです。そして、この選択が今のところ正しいことは、共和党大会におけるペンスの副大統領指名受諾演説が証明しているように思います(↓)。