たった今、トランプの大統領候補指名受諾演説を聴き終えました(↓)。グッタリしております。1時間15分、長かったです。とはいえ、1センテンスごとに聴衆の反応を待ち、聴衆は聴衆で、「USA!」とか「トランプ!」とか「ノー・ヒラリー」とかと叫んでいたので、トランプ自身の演説そのものは45分くらいでしょうか。
トランプとしては、一世一代の演説だったことでしょう。絶叫、憤怒、恫喝ーーいつもの何万倍も力が入っていました。この人は、こうやって人を脅しながら巨万の富を築いてきたんだな、とも感じさせました。
聴いていて私、チャプリンの映画『独裁者』を思い出しました、大げさじゃなく。大げさと思う方は、是非、↑のユーチューブをクリックしてみてください。
共和党大会4日目、最終日(テーマ=Make America One Again)の昨日は、14人が登壇&スピーチし、中には不動産王でマイケル・ジャクソンのネバーランドを買い取ったトム・バラックや、トランプの娘のイヴァンカ(↓)もいましたが、他の13人をトランプの演説が吹き飛ばしました。それほどトランプ一色の最終日でした。
トランプの演説を貫いていたのは、「America First(アメリカ第一主義)」です。軍隊、移民、難民、外交、貿易、すべて「アメリカ第一」で考え行動する〜すると、こう(↓)なるということ。
- 移民/メキシコ国境に壁を作る(改めて明言)。
- 難民/今より厳選し、受け入れ予算は増やさない。
- 外交/人も金もアメリカが多くを負担している現在から脱出。
- 貿易/TPP(環太平洋経済連携協定)には署名せず、米製品を保護。とくに中国の為替操作と、米企業の国外生産を止めさせる。
以上を踏まえた上で、外交や貿易のすべてを再交渉し、交渉が「アメリカ第一」でまとまらない場合は、交渉を打ち切ると力説しました。
その他、「減税減予算(とくに国民皆保険、オバマケアの見直し)」「道路や橋などのインフラ整備」「安全な社会」も保証しました。しかし、インフラを今より充実させて予算を減らすことなどできるのか? あるいは、銃規制に絶対反対の立場をとりながら、安全な社会を築けるのか? 疑問は山盛りです。
トランプの論でいけば、ヒラリー・クリントンは国務長官時代に「アメリカを第一」と考えなかったので、「国の治安は悪化し世界は不安定に」なり、「国から仕事が奪われ中間層が消えた」。だから、「ヒラリーを大統領にするな」という結論になります。
最後にトランプは、「私は莫大な富を築いた。この国を再びリッチにする」と絶叫し演説を締めくくりました。
一夜明けて、演説の評価はさまざまです。しかし私には、白人至上主義の差別団体、KKK元リーダーのデビッド・デュークが、「これ以上のデキはない!」と賛辞を送ったことが、すべてを語っているように思えてなりません。
トランプと「メキシコの壁」をパロッた360flyのCM。笑えます。短いので是非ご覧ください。問題は、こんな風にパロれるくらい冷静な国民がどれだけいるか。
こうして共和党大会は閉幕しました。ブッシュ三代、開会早々の反トランプ派からの提起、ミット・ロムニーやジョン・マケインら党の重鎮の欠席、トランプ夫人、マライアの演説盗作疑惑、テッド・クルーズのトランプ拒否演説、3割超の代議員の他候補への投票など、挙党態勢とはほど遠い〈異例〉ずくめの4日間でした。とはいえ、当初は泡沫候補と笑われたトランプが、昨夏以降、支持率首位に立ち、遂にここまで来たのです。大統領になっても不思議ではありません。
民主党は、来週月曜日7月25日からフィラデルフィアで党大会を開き、ヒラリー・クリントンを大統領候補に指名します。そのヒラリーは、先ほど副大統領候補にティム・ケーン上院議員(バージニア州選出)の起用を発表しました。現在、どの世論調査でもヒラリーがトランプを数ポイント上回っていますが、数ポイントは誤差の範囲です。