私にもわかる(かな)アメリカ大統領選#2016

アメリカ新大統領の誕生は2016年11月8日。在ロサンゼルスのノンポリが、渡米16年目にして初めて大統領選を追っかけます。大統領選、私にもわかるかしら?


共和党大会、第1日目:政策綱領に「メキシコの壁」を明記

 昨日から、オハイオ州クリーブランドで共和党の党大会が開かれています。党大会4年に1度、大統領選の年に開催される行事で、党が正式に大統領候補を指名する場です。今年は全4日間。テレビやネットでちらちらと眺めていますが、いや〜、長いですね。1日20人くらいスピーチしちゃう。つまり4日で80人か。私は、今年初めて大統領選を追いかけているので、こんなに長いなんて知りませんでした。知らないといえば、代議員もそう。代議員という名称から各地方の議員、つまり政治家なのかと思っていたのですが、そうでもないみたい。政治家もいるけれど、(積極的な党員である)普通のおじさんやおばさん、おにいさん、おねえさんもたくさんいるようです。

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 今日は党大会2日目で、数時間前にドナルド・トランプが正式に大統領候補に指名されました。が、とにかく長いのでフォローするのにアップアップ。そんなわけで、まずは昨日、第1日目の様子を追いたいと思います。党大会では毎日のテーマが決まっていて、この日は「Make America Safe Again」。

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  党大会でもっとも重要なのは、もちろん「正副大統領候補の指名」。そして「政策綱領の承認」です。発表された政策綱領は↓。これまた長くて58ページ。

The 2016 Republican Party Platform | GOP

 中で大切なのは、

メキシコと接する国土南方の国境全域に壁を建設する。

 と、明記した部分でしょう(綱領の26ページ右段13行目〜)。あちゃー、党がトランプの主張を飲んだ形ですね。また、「テロ支援国家からの入国者は特別慎重に調べる」とも。

 それから、経済評論家の豊島逸夫さんは、「『グラス・スティーガル法』復活」の記載に注目しています。ご興味のある方は↓。いつもながらキレの良い原稿です。

トランプ流金融危機対策は大銀行解体案 | 豊島逸夫の手帖 | 純金積立なら三菱マテリアル GOLDPARK(ゴールドパーク)

  さて、今回の大会は〈異例づくめ〉と言われていますが、第1の〈異例〉は党の重鎮らによるボイコット。名前を挙げると、以下の政治家が大会を欠席しています。

  • ブッシュ祖父、父、息子の三代
  • ミット・ロムニー前共和党大統領候補、元マサチューセッツ州知事
  • ジョン・マケイン元共和党大統領候補、現上院議員
  • ジョン・ケーシック・オハイオ州知事(*党大会の地元知事なのに)

  第2の〈異例〉は、開会早々のひと悶着でした。反トランプ・グループが、党大会規則に抗議したのです。規則では、「代議員は、彼(彼女)が属する地区で行われた予備選および党員集会の結果にしたがい、党大会で大統領候補に投票する」となっています。しかし、反トランプ・グループは、「地区の結果とは関係ない自由投票」を主張したのでした。 

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 ↑騒然とした党大会会場。結局、決議を取ったのですが、驚いたのは「声の大きさ」で決めたことです。「現行ルールに賛成の人、どうぞ」「オー!」「反対の人、どうぞ」「オー!」てな、原始的なやり方です。で、賛成=トランプ派の方が声が大きかったので、「現ルールでゴー!」となりました。 

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 この強行採決といえなくもないやり方に、会場から民主主義はいずこ?の声が上がりました。が、私には疑問があるのです。反トランプ・グループがルールを変えてみたところで、強力な新候補を用意しているわけじゃない。となると、対抗馬には、予備選でトランプに負けたテッド・クルーズ上院議員くらいしかいないから、結局負ける。だったら、この大騒ぎ、意味なくない?

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 ↑悶着後に登壇した、元ニューヨーク市長のジュリアーニ。この人って、こんな熱い人だったけ? トランプ礼賛、国防のための法規制強化を〈絶叫〉。観客はapplause(喝采)。

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 そしていよいよトランプが、クイーンの『伝説のチャンピョン』と劇的照明とともに登場。これだけでもげんなりの演出過多なのに、その後トランプは、妻のニアをラブラブに紹介〜妻による夫を讃えるスピーチに移行します。ちなみに通常の党大会では、大統領候補は正式指名されてようやく登場するそうで、初日から出るのは〈異例〉。

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 トランプのナルった演出は、すでにバラエティ番組のお笑いネタになっています。

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  トランプ夫人、メラニア。スロベニア出身の元モデルで、トランプ三人目の妻。美人ですがサイボーグっぽいですね。第一、妻がこういった場で夫を褒めるのは当たり前なわけで、んなもん聴いてどうする? とはいえ、アメリカ人って、人前で臆面もなく家族を褒めたり、それを聴いたりするのが大好きなんですよ。困ったね。で、さらに困ったのは、メラニアのスピーチが、8年前にオバマ夫人のミシェルが民主党大会で行った内容にそっくりだったってこと。 

    

 

 ↑CNNがネットで流した2人の演説比較。確かに似た内容ですね。トランプはもちろんパクリを否定し、返す刀で「ヒラリー陣営が流したデマ」と反撃中です。〈あー言えば、こー〉は、アメリカ大統領選の鉄則。

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 その後も次々にスピーカーが登場。この人は、リアリティ番組『ダック・ダイナスティ』のおとうさん。「トランプが、常にポリティカリー・クレクトというわけではない。しかし、彼は常に真実を語る」。星条旗鉢巻は、トランプ・シンパの典型的ファッション・アイテムです。 

 本日2日目は、マコネル院内総務、ライアン下院議員という大物2人がスピーチしました。これらを含む2日目の模様は、明日!