気が抜けたというか、なんつーか、ヒラリー・クリントンのEメール問題。
ヒラリーは米国務長官時代、自宅の私有メールサーバーとメールアドレスを使って公務のやり取りをしていました。本人は「機密を明示したメールは含まれていなかった」と主張しましたが、これを重く受け止めた司法が約1年前から調査を進めていました。
この週末、FBIはヒラリーを3時間半におよび任意聴取。昨日、ジェームズ・コミーFBI長官がFBI本部で開いた記者会見は、それを受けてのものでした。
いわくーー、
- ヒラリーのメールには「機密事項」、とりわけトップシークレットに価するものが含まれており、「規則違反」である。
- ヒラリーは、国外にいる時も同様の行為におよんだ。
- しかし、ヒラリーが意図的に違法行為をした証拠は見つからなかった。
- 「規則違反」ではあるが、犯罪とするほどの内容ではない。
- なお、これらの「機密事項」がハックされた形跡はなかった。
- 長期間の慎重な調査の結果、ヒラリーを「訴追」しない。
- FBIの調査はこれで打ち切り。
えー! 「機密事項」で「規則違反」なら、なんかもっとあってもいいんじゃないの? だって、こんなテロ頻発の時世に、国務長官がこんなことやってたんですよ。そもそも普通の会社員だって、企業秘密を私用メールでやり取りしたのがバレたら首じゃん。
「打ち切り」宣言したものの、FBI長官は同じ会見で、ヒラリーや側近たちの機密情報の扱いを「適当でなく極めて(extremely)軽率」と、何度も繰り返し指摘しました。であるからこそ、「軽率ですんだら警察いらなくない」と、言いたくもなります。にしても、ヒラリーって用意周到なイメージだけど、実は軽率な人物?
うーん、なんだかすっきりしないな。今にもクリントン夫婦が「シャンシャイン」している姿が見えるような(実際ヒラリーは、昨日からオバマ大統領とデュエット選挙運動を開始。メールの件には一切言及せず、移動に大統領専用機=公用機、エアフォース・ワンを使うという縦横無尽ぶり)。最近、夫のビル・クリントンが、ロレッタ・リンチ司法長官と会ったという事実も伝わっているし‥‥。
「(of) Very very bad judgement」——これは、大統領選対抗馬のドナルド・トランプが早速ツイッターに流したコメント。トランプはまた、「デヴィッド・ペトレイアス元CIA長官は、FBIから情報漏洩問題を調査され辞任に追い込まれた」というのに「very very unfair!」ともツイートしています。なんか、今回ばかりはトランプの見解が正しいような。
FBIは今後この件を司法省に預けますが、過去をかんがみればFBIの見解を同局が覆すことはまずないそうです。あー、シャンシャン。