私にもわかる(かな)アメリカ大統領選#2016

アメリカ新大統領の誕生は2016年11月8日。在ロサンゼルスのノンポリが、渡米16年目にして初めて大統領選を追っかけます。大統領選、私にもわかるかしら?


気が抜けたヒラリーEメール問題、FBI長官の結論

 気が抜けたというか、なんつーか、ヒラリー・クリントンEメール問題

 ヒラリーは米国務長官時代、自宅の私有メールサーバーとメールアドレスを使って公務のやり取りをしていました。本人は「機密を明示したメールは含まれていなかった」と主張しましたが、これを重く受け止めた司法が約1年前から調査を進めていました。

 この週末、FBIヒラリーを3時間半におよび任意聴取。昨日、ジェームズ・コミーFBI長官がFBI本部で開いた記者会見は、それを受けてのものでした。

 いわくーー、

  1. ヒラリーのメールには機密事項」、とりわけトップシークレットに価するものが含まれており、「規則違反」である。
  2. ヒラリーは、国外にいる時も同様の行為におよんだ。
  3. しかし、ヒラリーが意図的に違法行為をした証拠は見つからなかった。
  4. 規則違反」ではあるが、犯罪とするほどの内容ではない。
  5. なお、これらの「機密事項」がハックされた形跡はなかった。
  6. 長期間の慎重な調査の結果、ヒラリーを「訴追」しない。
  7. FBIの調査はこれで打ち切り。

  えー! 「機密事項」で「規則違反」なら、なんかもっとあってもいいんじゃないの? だって、こんなテロ頻発の時世に、国務長官がこんなことやってたんですよ。そもそも普通の会社員だって、企業秘密を私用メールでやり取りしたのがバレたら首じゃん。

「打ち切り」宣言したものの、FBI長官は同じ会見で、ヒラリーや側近たちの機密情報の扱いを「適当でなく極めて(extremely)軽率」と、何度も繰り返し指摘しました。であるからこそ、「軽率ですんだら警察いらなくない」と、言いたくもなります。にしても、ヒラリーって用意周到なイメージだけど、実は軽率な人物?

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 うーん、なんだかすっきりしないな。今にもクリントン夫婦が「シャンシャイン」している姿が見えるような(実際ヒラリーは、昨日からオバマ大統領とデュエット選挙運動を開始。メールの件には一切言及せず、移動に大統領専用機=公用機、エアフォース・ワンを使うという縦横無尽ぶり)。最近、夫のビル・クリントンが、ロレッタ・リンチ司法長官と会ったという事実も伝わっているし‥‥。 

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 これって、ヒラリー票にどう反映するんでしょうね? もちろん、FBIが「訴追」を求めていれば、ヒラリーは相当追い込まれたでしょう。だから、FBIの見解を「追い風」と評した日本の新聞もあったけれど、そっかな? またぞろ、「黒い噂を乗り切った」という嫌な印象しか、少なくとも私自身には残らないです。「ウォールストリート・ジャーナル」とNBCニュースの最新世論調査でも、「ヒラリーは正直でなく信用できない」と答えた国民が7割もいたことを忘れちゃいけません。

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「(of) Very very bad judgement」——これは、大統領選対抗馬のドナルド・トランプが早速ツイッターに流したコメント。トランプはまた、「デヴィッド・ペトレイアス元CIA長官は、FBIから情報漏洩問題を調査され辞任に追い込まれた」というのに「very very unfair!」ともツイートしています。なんか、今回ばかりはトランプの見解が正しいような。

  FBIは今後この件を司法省に預けますが、過去をかんがみればFBIの見解を同局が覆すことはまずないそうです。あー、シャンシャン。