私にもわかる(かな)アメリカ大統領選#2016

アメリカ新大統領の誕生は2016年11月8日。在ロサンゼルスのノンポリが、渡米16年目にして初めて大統領選を追っかけます。大統領選、私にもわかるかしら?


トランプと話し合ってるポール・ライアンってどんな政治家?

 16人もいたライバルをバッタバッタとなぎ倒し、共和党の大統領候補となったドナルド・トランプ。そのトランプと、党の方針を巡り話し合いをしているのがポール・ライアンです。ライアンももちろん共和党。そして、昨年10月からは下院議長を務めています。下院議長は、副大統領に次ぐ大統領職継承者。正副大統領に何かあれば、大統領になる超のつく要職です。

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 なかなかハンサムですね。現在46歳。https://paulryan.house.govより。

 ライアンがなぜ下院議長という要職にあるかといえば、アメリカには上院、下院と2院があり、上院は民主党が、下院は共和党が多数を占めています(つまりねじれ現象)。そして、議長は多数政党から選出されます。ライアンは、この若さで共和党から選ばれたバリバリ、ピカピカのホープ。共和党で一番影響力がある政治家ともいえます。党には他に、ミッチ・マコーネル上院院内総務という重鎮がいますが、この人は74歳のおじいちゃん。したがって、ライアンが次世代の共和党を背負って立つ立場にあります。

 また、次回2020年の大統領選出馬間違いなしとも。これについて本人は否定していますが、下院議長になった時もさんざん就任を否定しているので、まあブラフでしょう。なお、トランプをよく思わない共和党主流派が、夏の党大会に合わせて急遽ライアンを擁立するのではと一時期噂されましたが、本人はこれも否定しました。そして、これに関しては事実と思います。いまさらライアンが出馬したところで、トランプに勝とうはずもなく赤っ恥をかくだけだもの。

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 夏の党大会といえば、ライアンはこれを仕切る立場にもあります。ここで仕切りを間違ってしまえば、能力が疑われ、ひいては2020年の大統領選にも悪影響を及ぼす。トランプをどう扱うか、ライアン手腕が問われる局面です。

 【略歴】

  • 1970年 ウィスコンシン州生まれ。4人きょうだいの末っ子。父親は弁護士、祖父は米連邦検事。カトリック教徒。
  • 1986年 父親が55歳の若さで逝去。以降18歳まで福祉助成金を受ける。高校時代のバイト先のひとつはマクドナルド。
  • 1992年 オハイオ州マイアミ大学政経学部卒業。ワシントンDCや地元ウィスコンシン州で政治家のインターン。共和党の元副大統領候補者、ジャック・ケンプ下院議員に師事。
  • 1998年 ウィスコンシン州から下院選に出馬。28歳の当選は当時の議会最年少。以降、挫折知らずに現在7期目。
  • 2000年 結婚。二男一女。
  • 2010年 中間選挙で、下院を与野党逆転&共和党多数に導く。
  • 2012年 大統領選で共和党大統領候補、ミット・ロムニーの副大統領候補となるも、ロムニーオバマに敗れ実現せず。
  • 2015年 下院議長就任。1875年以降、最も若い下院議長。

【政治信条】

  • 小さな政府=歳出削減+減税。
  • 共和党保守本流の政治信条にピタリと一致。
  • メディケイド(低所得者用医療保険)、フードスタンプ(低所得者用食糧券)他、福祉関連の予算削減を提唱。
  • 学生時代に政府から助成金を受けた+私企業に勤務せず常に政府から収入を得ている→にもかかわらず「歳出削減+減税」を訴えるのは矛盾するとの批判も。
  • 支援団体には金融、保険、不動産業界が多い。
  • 人間関係よりも信条や政策に基づき判断、行動。

 【その他】 

  •  趣味はアウトドア。狩猟や釣りも。
  •  父親を含め短命の家系のため、心臓を強化する独自のフィットネスに励んでいる。
  • 就寝は午後9時。
  • 平日は、下院の質素な事務所で寝泊まり。週末、地元に帰り家族と過ごす生活。
  • 「wait-and-see」つまり慎重派。
  • バイデン副大統領が、今年民主党から大統領候補に名乗りを上げていたら、ヒラリーは負けていた」と明言。

 【トランプについて

 今のところ、ライアンは正式にトランプ支持を正式に表明していません。なぜなら、政治的にあまりにも違うからです。ライアントランプの主張に反対しているのは、以下のような事項です。

  1. イスラム教徒の入国禁止。
  2. 富裕層への増税。
  3. 最低賃金の引き上げ。
  4. 極右的移民政策。

トランプの考えは極端すぎる、現実的じゃない」というのが、ライアンの反対理由です。 トランプは嫌だけど、他にタマはなし。ライアンも辛いところね。ただし、トランプの「短いセンテンスを多用した、政治家らしくない自然な話し方や、アドリブ能力は評価する」とも。