開票結果がほぼ出揃いました。共和党は、ドナルド・トランプが全５州を制覇、民主党はヒラリー・クリントンが1州を除く4州制覇です。これで、バーニー・サンダース上院議員（バーモント州選出）が、民主党から大統領候補に指名されることは99％なくなりました。ファンの私は、かなりぼーっとしています‥‥。
【民主党2人の得票率】
この中で代議員数が多いのが①ペンシルバニア、②メリーランドです。ヒラリーは、ともに勝利。特に、メリーランドでは約30％の差をつけました。民主党は比例配分制で、今日の2人の獲得代議員数は（↓）。
【今日の獲得代議員数】
今夜の段階では数字は暫定です。州により計算方法の細かい規定があるので、確実な数字は数日出てきません。また、報道機関によって数字が異なります。（↑）は、「ニューヨーク・タイムズ」紙を参考にして作成。
すでに後塵を拝しているサンダースが、ここでまたヒラリーに70以上もの差をつけられてしまったわけです。あーあ。2人の勝ち方には一定の法則のようなものがあります。ヒラリーは、アフリカン・アメリカンやラテン系などのマイノリティーに強く、そうした多様な人種が在住する州は人口も多く、つまりは大票田で勝つ。反対にサンダースは、白人が多く人口の少ない＝代議員も少ない地区で勝つ。その上、ぶっちぎりで勝つことがあまりないので、比例配分すると劇的に票が伸びるということがない。サンダース、今回もこのパターンを見事に繰り返してしまいました。
党からの指名は絶望的になるも、「選挙戦から撤退しない」と語った今夜のサンダース。「ニューヨーク・タイムズ」は「いつ降りるかが注目される」とコメント。うー。反対に”指名獲得モード”のヒラリーは、勝利演説でサンダースを讃える余裕を見せた。
【共和党3人の得票率】
【今日の獲得代議員数】
「かっさらう」という表現がピッタリなトランプの勝利です。これまでの予備選の中でもベストのデキでした。 これで、7月の党大会前に過半数を獲得し、大統領候補として共和党から指名される可能性が高まりました。それにしても、テッド・クルーズ上院議員（テキサス州選出）の負けぶりはひどい。ペンシルバニア州以外は、まだ地元のオハイオ州しか制したことにない3位のジョン・ケーシック（知事）にさえ敗れ去りました。ゴリゴリの極右でキリスト教福音派のクルーズは、南部に強く都市部に弱い傾向があるのですがその通りの結果になりました。まあ、カーボーイハットとブーツで演説されても、そら、都会人は引きますよね。
なお、共和党は代議員の「トップ総取り」か、それに近い制度を採用している州が多く、民主党に比較してドラスティックに数字が動きます。
自身の城、トランプ・タワーで勝利演説したトランプ。およそ1時間、疲れも見せずまくしたて、記者の質問にも堂々と答えた。TVで鍛えたのか、質問をこなす反射神経はさすが（トランプの左後ろに、クリス・クリスティ・ニュージャージー州知事の姿が見えます。予備選撤退後、即トランプ陣営に加わりました。勝ち馬に乗るとはこのことか）。
トランプの演説を一部を紹介します（意訳）。
「今日予備選が行なわれたフィラデルフィアには、朽ち果てた工場がたくさんあった。悲しい光景だ。私はアメリカに仕事を戻す。中国やメキシコ、日本からこの国の仕事を取り戻す」ーー私がアメリカ人なら、うんうんと頷いてしまいそうな説得力あり。
「バーニー・サンダースは正しい。ヒラリーは大統領にふさわしい人物ではない。イラク侵攻に票を入れた。私用Eメールで国家機密を流した。ダメだ」ーーうーん、確かにそうかも。
と、こんな風にして、みんなトランプに吸引されてしまうのねと感じながら聴いた今夜の演説。
