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私にもわかる(かな)アメリカ大統領選#2016

アメリカ新大統領の誕生は2016年11月8日。在ロサンゼルスのノンポリが、渡米16年目にして初めて大統領選を追っかけます。大統領選、私にもわかるかしら?


3分でわかる! 中級者のためのバーニー・サンダースってどんな政治家?

yukikoyanagida.hatenablog.com

 (↑)では、バーニー・サンダースの略歴や政策を記しました。ここでは、民主党のライバル、ヒラリー・クリントンと比較しながら、サンダースをもう少し掘り下げてみます。

 

【寄付金平均27ドル(約3,000円)】

 サンダースヒラリーも、「中流の喪失」や「貧富の格差」に強い懸念を示している点は同様です。しかし、大きな違いはウォール街など大企業との関係。ヒラリーはこれらの企業と密接で、高額の講演料や寄付金を得ています。たとえば、ゴールドマン・サックスから受け取った〈1回〉の講演料は、日本円にして約2,450万円(UBS銀行やドイツ銀行の講演でも同額か、それ以上)。繰り返しますが〈1回〉です、〈1年〉ではありません。反対に、サンダースへの寄付金は1回あたり平均27ドル(約3,000円)。草の根募金が中心です。また、ヒラリーは1986年から6年間、何かと労使問題で騒がれるウォルマートの取締役もつとめました。

 ちなみに、ウォール街はサンダースを推しているとか。理由は、サンダースならヒラリーより共和党の大統領候補に負ける確率が高いから。つまりウォール街は、共和党政権の方がやりやすいのです。

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【健康保険】

 サンダースは、私企業が介在する国民皆保険制度(「オバマケア」)から、日本のように国が管理する制度への移行を目指しています。日本からはわかりにくいし、私も最近まで知らなかったのですが、低所得者や高齢者用のセイフティネット、「オバマケア」は、大手保険会社によって運営されているのです。「アメリカの医療費がちっとも安くならない諸悪の根元はここにある」と、サンダースは訴えます。

 しかし、サンダース流の国民皆保険を実施すると、1トリリィオン・ドル以上(数字が大きすぎて計算できず)を要するとか。そのため、サンダースはハッキリと「税金は上げる」と公言しています。選挙中に税増の話はタブーなのに、勇気がありますね。ただし、「保険、製薬、医療関連の私企業に、今のようなやりたい放題をさせないので医療費は激減する。したがって、家計はプラマイで得をする」と説明しています。

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【外交、戦争、テロ対策】

 サンダースは主張しますーー「2003年のイラク侵攻は、アメリカ史に残る愚行。その決議にヒラリーは賛成票を投じた」。当時、下院議員だったサンダースは、数少ない反対票を投じた議員のひとりです。これに対し、ヒラリーは再三再四謝罪しました。しかし返す刀で、元国務長官およびファーストレディの豊富な外交体験をアピール。サンダースの外交能力の未知数を指摘しています。

 サンダースIS対策はこうですーー「ISは倒す。しかし、ヒラリーがしたようにカダフィの追放を迫ったのでは、かえってISを刺激し過激な軍事行動を取らせてしまう」。ざっくり言って、戦争や戦闘に関してサンダースは慎重派、ヒラリーはやる時はやる攻撃派と言えそうです。

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【銃規制】

 サンダースは過去、銃規制法案に繰り返し反対票を投じました。サンダースを上院議員に選出したバーモント州は、元来、狩猟が盛んな地域で銃規制には消極的なのです。これは、ヒラリーがしばしば攻撃するところで、サンダースは、「全米ライフル協会は私を評価していない」と語っていますが、ちょっと説得力に欠けますね。最近も、コネチカット州学校銃乱射事件の被害者家族が、事件で使用された銃を製造した会社を訴えるのはおかしい(提訴の権利はあると明言)と語り、批判を浴びました。

 

【対決ポリシー】

 サンダースは、ネガティヴ・キャンペーンに与しません。これは、ネガティヴ合戦が当たり前の大統領選にあって珍しいことです。討論会で司会者が、「ヒラリーのEメール問題」(国務長官時代に、自宅のサーバーを経由する個人メールアドレスから、国家機密に関わる内容のメールを送信した疑い。FBIと検事が捜査中)を振っても、「政治問題化しない」とあっさり。

 ただし、そんなサンダースも、ヒラリーとウォール街や富裕層との癒着に関しては極めて攻撃的です。〈ニューヨーク決戦〉直前のTV討論会(4月16日/↓)では、ゴールドマン・サックスから多額の講演料をもらいながら、「政策決定に影響はない」と言い切るヒラリーに対し、「だったら講演内容を公表せよ」と詰め寄る場面も。反対にヒラリーは、「そっちこそ納税内容を出せ」。「今週中に出す」と応じたサンダースは、約束を守り納税申告書を公表しました(ヒラリーも公表)。納税書類によると昨年度収入は、ヒラリー夫妻が日本円にして30億円、サンダース夫妻が2,200万円です(アメリカでは一般に夫婦単位で申告)。ずいぶん違いますね。


FULL CNN Democratic Debate P1: Hillary Clinton VS Bernie Sanders, 9th Democratic Debate 4/14/2016

(↑)このTV討論会は、シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』を彷彿させるエキサイティングな内容でした。個人的には、サンダースに感動を覚えました。この人は、自分が信じていることを真っ直ぐに述べている、と。反対にヒラリーには、信条というより心証を良くするための答弁を感じました。非常に高い技術の答弁ではありましたが。

 

 【環境問題】

 地球温暖化を強く懸念。(私企業保護のため)パイプライン開発に賛同したヒラリーを批判。

  

【懸念材料】

 長年、民主党と院内会派を組む無所属で、昨年、大統領選出馬に際し民主党入党。したがって党内に人脈が薄く、しかも〈民主党改革〉を唱えるサンダースでは、党をまとめ切れないのではと危惧されています。また議会においても、オバマ政権で深まった共和党との溝がいっそう深まるのでは、とも。

 

ついでに‥‥ヒラリーが嫌われる理由

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 民主党からの指名獲得は〈楽勝〉と目されたヒラリーなのに、なぜこんなにもたついているのか? その理由は、常に何か臭うからだと思います。金脈、Eメール問題、そして過去には夫の浮気スキャンダル。たとえば、以前有権者に「正直」という観点で質問をしたところ、サンダース正直が92%だったのに、ヒラリー=正直はたったの6%。自身もこれを承知のようで、あるインタビューではこう答えています。

「有権者が、私に疑問を抱いているのは知っています。ヒラリーは、国民のために大統領になろうとしているのか、あるいは彼女自身のためなのか?と疑っているんです」

 

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