初戦のアイオワ州や、大票田のテキサス州、今週はユタ州など、8州において共和党予備選でトップに立ったテッド・クルーズ。現在、ドナルド・トランプに次いで、共和党の代議員獲得数で2位につけています。クルーズは、日本ではほぼ無名と思いますが、アメリカでも、大統領候補に名乗り出るまでは全米的存在ではありませんでした。今だって、クルーズの名前と顔が一致しない米国民はけっこういると思います。では、テッド・クルーズっていったいどんな政治家?
まず、とっても基本的なことを書くと、彼は現在45歳で、テキサス州から選出された上院議員です。顔は↓。
角度によって、俳優の故・細川俊之に酷似。演説上手の評判あり。演説中に、しばしば低音の唸りと高音を使い分けます。言うなれば森進一の歌唱法に近いです。
【生い立ち】
‘70年、カナダ、カルガリー生まれ。父はキューバ移民、母は米国人。出生時一家は、父親の仕事(当時は石油関連。後に牧師)の関係でカナダにいたが、'74年テキサスに。なお、トランプが、クルーズは、「カナダ生まれなので大統領になれない」と主張していますが、現在の法解釈では大統領になる資格あり、です。
【経歴】
- ‘92年、プリンストン大学卒。その後、ハーバード・ロー・スクール修了。
- 連邦最高裁判所長官の調査官、法律事務所勤務、テキサス州訟務長官、テキサス大学ロー・スクールでの教鞭とエリート道をまっしぐら。
- 2012年、テキサス州から上院議員(共和党)に初出馬、初当選。現在1期目。
【宗教】
キリスト教福音派。進化論を否定(こういう米国人は案外多いです)。
【政治信条】
- 新自由主義者。ガリガリの保守。
- 政府は小さければ小さいほどいい。
- 税金は少なければ少ないほどいい(10%の一律所得課税を主張)。
- 反対=社会保障や教育への政府の支出、人工中絶、最低賃金の引き上げ、同性愛者の権利確立、TPPなど。医療保険制度改革法(いわゆるオバマケア)にも反対で、2013年、廃止を訴え上院本会議で20時間以上のマラソン演説。名前は売れたが、目立ちすぎの批判も。
- OK=銃所持、死刑など。
- 移民政策=強硬。最近は、ベルギー、ブリュッセルのテロに対し「国内のイスラム教地区を監視」と発言。イスラム教徒一般とイスラム過激派を同一視する傾向あり。なお、在米不法移民(推定約11・5万人)の解決法は明示していない。
- 対ISIS=強硬。市民をも巻き込む「絨毯爆弾」を主張。
ちょっと話がかたくなってきたので、この辺で奥さんを紹介します。
けっこうきれいですね。妻、ハイディは、ハーバード大経営大学院で修士所得。ゴールドマン・サックス証券の管理職。現在は休職し、夫の政治資金集めに豪腕発揮中。ということで↓こうなるのです。
【金脈】
2012年の上院選時、妻の人脈を通じ、ゴールドマン・サックス証券やシティバンクから、極めて低い金利で100万ドル(約1億2,000万円)を調達。しかも報告漏れ。
【支持層】
保守層、福音派他キリスト教右派、草の根保守運動団体ティーパーティーなど(ただし最近になって、ティーパーティー首脳陣の一部がトランプに鞍替え)。支持者は南部に多く、西に行くにつれ減る傾向。今後、予備選は西部に移るため得票率低下が予想される。
こうして見ていくと、アーミテージ元米国務副長官の「クルーズとトランプは軽蔑する」との発言に頷けるような‥‥。