私にもわかる(かな)アメリカ大統領選#2016

アメリカ新大統領の誕生は2016年11月8日。在ロサンゼルスのノンポリが、渡米16年目にして初めて大統領選を追っかけます。大統領選、私にもわかるかしら?


銃規制強化、オバマ大統領の〈涙〉、本当の意味

 オバマ大統領が、先週、新たな銃規制を説明した際に流した涙は、多くの人の共感を呼びました。大統領が涙を拭ったのは、コネチカット州小学校銃乱射事件に言及した直後。「子どもたちを思うと、いつも怒りが込み上げてくる」。そのため、大統領の涙をヒューマニズムの文脈で捉える人が多いと思います。かく言う私もそのひとりでした。

 

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 が、一部の米ジャーナリストはこの涙を、大統領の言葉通り「怒り」によるものと解釈しています。というのも、新銃規制が議会の承認を得なくてもOKな内容に限られているからです。つまり大統領は、議会に妥協せざるを得なかったことに男泣きした、と。

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  では、新銃規制の内容を見てみましょう。

  インターネットや即売会を通じた銃販売の抜け穴を防ぐために、『販売業者に営業許可』と『購入者の身元確認』を義務付ける。

  ええ?!と、驚くのは私だけではないでしょう。今まで、そんなこともやってなかったの〜って。まあ、こんなことも知らないで、この国に15年も住んでいる私も私なんですけれど。新銃規制では、米憲法に記された「自衛のために銃を持つ権利」には手をつけていません。したがって、米国民は銃を持ってもいい、それも何梃持ってもいいという現状はなんら変わらないのです。

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 ところで、日本だけでなくアメリカの報道でも曖昧なのですが、この新銃規制、「大統領令(Exective Order)」じゃなくて、「執行命令(Exective Action)」です。大統領令といえば、まず私たち日本人が思い浮かべるのは、日米開戦後にルーズベルト大統領が発した「大統領令9066号」でしょう。これにより、日系アメリカ人(もちろん日本人も)の強制収容が可能となった、アメリカの黒歴史ともいえる大統領令です。実は、私自身も当初、今回の銃規制を大統領令と思い込んでいました。

  そういうことで、まだまだ抜け道というか、大通りがいくつも残ったままの新銃規制。それでも、何人もの大統領候補が大騒ぎしています。以下はそのうちの一部。

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 クリス・クリスティ・ニュージャージー州知事(共和党)は、オバマ大統領を「王様か独裁者」のように振る舞う「拗ねた子ども」と非難。

 テッド・クルーズ上院議員(共和党)にいたっては、自身のウエブサイトでこんなキャンペーンを展開中です。

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 大統領にナチのヘルメットみたいなのを被せて、いかにも悪者扱い。勧善懲悪の世界ですね。

 あさっては、第6回共和党大統領候補討論会です。新銃規制について議論されるのは必至。