パリのテロから一夜明けて開かれた第2回民主党大統領候補討論会(於・アイオワ州ドレイク大学)は、犠牲者への黙祷から始まりました。討論のテーマも、当初予定されていた「経済」から、急遽「テロとの戦い」「外交政策」に変更。
ヒラリー・クリントンは、哀悼の意を込めて黒服で登場です。10月19日の第1回討論会に続き、昨日も壇上でセンターに立ったのはヒラリー。
出席者は3人。ヒラリーの他に、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)と、マーティン・オマリー前メリーランド州知事。
民主党は、バイデン副大統領が立候補しなかったことで、ヒラリーに一本化された感があります。実際、最近発表された「ニューヨーク・タイムズ」紙とCBSの共同調査でも、ヒラリーが52%(サンダースが33%、オマリーにいたっては5%)と過半数を確保。
この人がバーニー・サンダース。ノンポリの私は、ついこの間まで彼のことをまったく知りませんでした。それで少し調べたところ、ニューヨーク、ブルックリン生まれの74歳。若い時=反戦運動家、大工、映画製作、作家、研究者。その後、バーモント州バーリントン市長16年〜下院議員16年〜上院議員2期目。
で、サンダース、実は無所属です。民主党とは統一会派を組んでいるので、同党から立候補した由。こういう形もありなんですね。これまた、知らなかった〜。政治的には自称「社会主義者」のリベラルで、私はこの人を見ていると、ロサンゼルスにいっぱいいる、元ヒッピーのインテリじいさんたちを思い出します。好きだな、サンダース。
マーチン・オマリー前メリーランド州知事。ハンサムですねえ。顔で勝負なら、共和党はランド・ポール、民主党ならこの人。言っていることも極めて真っ当で、我が好感度は高し。ただし、知名度は圧倒的に低いです。
ちなみに、前回の第1回討論会は5人が参加。それが3人に絞られた格好。photo from www.democrats.org
討論会の開始直後、「これは、大統領と同時に米軍最高司令官を選ぶ選挙です!」と、強調したのがヒラリーでした。パリのテロという非常事態を受けて、元国務長官&元ファーストレディの豊かな国際政治経験をアピールしたわけですね。これに対しサンダースとオマリーは、ヒラリーがブッシュ政権時の2002年に、イラク戦争開戦決議に賛成したことを批判(サンダースとオマリーは反対票を投じています)。
と、ヒラリーはすぐさま、「そのことは何度も謝罪したじゃない!」と、甲高い声で反論。かなり怖かったです。アメリカ男には、ヒラリーが苦手な人がけっこういるんですが、それは、「母親に叱られた子ども時代を思い出すから」だとか。なるほど。
この他にも討論が激する場面がいくつかありましたが、全体に3人の政治姿勢は、
- 富裕層の税率を上げる。
- 医療、教育の国民負担を大幅減。
- シリア難民を受け入れる。
- 不法移民にもやさしく。
と、共通しています。そのため、共和党討論会のように、候補者同士が敵意を剥き出しにすることなく2時間が過ぎていきました。このままいけば、民主党の大統領候補はヒラリーでしょう。でも、長距離レースなので、今後何が起こるかは予断を許しません。サンダースやオマリーに逆転のチャンスはあるのか? 次回の民主党討論会は12月9日、ニューハンプシャー州にて。
↓CNNによる討論会のビデオ。