私にもわかる(かな)アメリカ大統領選#2016

アメリカ新大統領の誕生は2016年11月8日。在ロサンゼルスのノンポリが、渡米16年目にして初めて大統領選を追っかけます。大統領選、私にもわかるかしら?


第4回共和党大統領候補討論会(2015年11月10日/ミルウォーキー)

 パリが大変なことになっています。夕方からロサンゼルスも、テロの報道で持ち切りです。明日は、民主党の第2回大統領候補討論会。テロが一大テーマになるに違いありません。今週は、10日(火)が共和党の第4回大統領候補討論会。でもって、明日が民主党。アメリカ大統領選を追っかけるのもなかなか大変で、まわりのアメリカ人たちも「ビデオがたまっちゃって」と、頭を掻いています。

 共和党討論会の出席者は、前回の10人から2人減って全8人。こうやって、人気のない候補者から順に〈落っこち〉させていくシステムなんだそうです。いかにもアメリカですね。さて、2時間の討論会を経てなお、共和党の混戦は続いています。そのため、視聴率が上がりテレビ業界はちょっとした特需とか。

  討論会のセンターを張ったのは、やっぱりこの人でした↓。

 

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 トランプの暴走を見ていると、どうしても石原慎太郎がかぶってしまう……。司会者から移民問題を問われたトランプいわく、「この国にいる不法移民は、全員、片っ端から追い出—す!」。

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  これに対し、「無茶言うな。不法移民は1,100万人もいるんだ。あんたのは大人の議論じゃない」と即座に反論したのが、ジョン・ケィシック・オハイオ州知事。知らないですよね、この人のこと。

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 で、ちょっと調べたところ、リーマン・ブラザースの元ビジネス・マネージャー。倒産するまでその地位にいたっていうんだから、「国の財政を立て直す」と言われても……。

  それにしても、日本から来た私にとってわかりにくいのが移民問題です。「不法移民を国外追放する。国家には法がある。法は遵守しなければならない」というトランプの意見は、私には真っ当に聞こえます。それが「極右」と批判されるのはなぜ?

  1.  あまりにも多数の不法移民が長期間滞在しており、彼らはすでに生活基盤を築いている。そういう人たちを追放するのは人道主義に反する。
  2. 遠い昔に入国した自分たちの祖先だって、不法だった可能性大。そんな先達が、がんばって富めるアメリカを作った。不法移民には寛容であるべき。

  まあ、こういう風に心からこう思っている人もいれば、そうでない人もいる。でも、「不法移民は出てけ!」と、大ぴらに口に出すのは憚られる。トランプに人気があるのは、これをズバッと言うからでしょう。トランプさん、ポリティカリー・コレクトに疲れたアメリカ人のハートを鷲掴み。

   ただし、さすがにトランプがこのまま先頭を走り切るとは、たいていのアメリカ人が思っていません。すると誰が抜きん出てくるのか? 

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 現在2番手を走っているのは、元神経外科医のベン・カーソン。最初、知的で謙虚な印象を受けましたが、「税率一律」を説く理由を問われていわく、「神は誰もに公平だから」。ドン引きです。日本だったらマルキ扱いでしょう。けれども、ここはアメリカ、God Bless You!

  前回に続きバッチリ、アピールしたマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)は、今後さらに追い上げていきそうな勢い。

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 ルビオは、雄弁だしソツがないです。政治的には保守。討論会でも、「世の中は、アメリカが世界一強い軍事力を保持した時の方が平和」と明言。その瞬間、会場は激しい「アプローズ(喝采)」。いやはや共和党。

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 そんなルビオに、「あんたの考える軍事費は莫大すぎる」と一席ぶったのが、私のご贔屓(顔が好きなだけです)、ランド・ポール(右)。「他の国の内政に指を突っ込んではいけないんだ」とも。いいぞ、がんばれ。けれども、ポールは次の〈落っこち〉候補との観測も多くて。

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 ルビオ同様、頭角を現してきたテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)。プリンストン大卒で、学生時代から雄弁の誉れ高しだそうですが、細川俊之に似てるもんだから、私としてはどうにもこうにも。

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 前回、致命的なまでの「討論ベタ」を露呈してしまったブッシュ弟(大ブッシュの息子)。今回はかなり奮起しましたが、いかにも予習してきた然の「雄弁風話し方」はムリ感いっぱいでした。私は、この人が共和党の大統領候補になることはない、と見た。

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 カーリー・フィオリーナ。「ヒラリーを打ちのめさなきゃいけないのよ。カーリー・フィオリーナなら、ヒラリーをぶっ倒せる!」と、壇上から叫んでいて、怖かった。この人がCEOだった時のヒューレッド・パッカードの社員たちを思い、ひそかに涙す。

  フィオリーナが、我がランディ・ポールの話を中断した場面があったのですが、その瞬間、第三者のトランプが、「なんで、いちいち他人の話の骨を折るかなあ〜?(Why does she keep interrupting everybody?)」と、突っ込みを入れたのには笑いました。

  同じくらい笑ったのは、TPPに絡めてトランプが熱く激しく中国を批判した時。ランド・ポールがひと言、「中国はTPPに参加していませんよ」。んなこと知らなくても金儲けはできるんだな、と妙に感心した。

  そんなこんなで2時間の討論会は終わり、いまだ混戦が続く共和党。次回の討論会は12月15日。 

 

→CNNによる討論会のビデオ。

www.cnn.com